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「萌えるベルギー」
山根悟郎のベルギー音楽事情


イントロダクション〜前書き
山根悟郎のプロフィール
 

 

ブリュッセル通信 山根悟郎

 「萌えるベルギー」山根悟郎のベルギー音楽事情 #006

-第6回:モオツァルト・フォオエヴァア
 
 またしても発音ネタである。そういえば気が付けばオリンピックもパラリンピックは終わってしまったが今年いっぱいはモーツァルトイヤーが続く。生誕250年だ。日本では1985年に公開された映画「アマデウス」により、実はとんでもなく軽薄な人物であったことが広く世界に知られるようになったが、だからといってモーツァルトの音楽の素晴らしさが減じるわけでは全くない。人類史上最大の天才の一人であったことに議論の余地はないのだ。特別に関心のないという人でも、今年中に一度はコンサート、CDショップなどに足を運んでその信じがたいまでの天才に触れてみられることをオススメする。

  そのモーツァルト(Mozart)だが、その名前、フランス語圏では読み方が全く異なる事を皆さんはご存じだろうか。彼らはほぼ絶対「モザー」、いわゆる学習用カナ表記に従って書くなら「モザーる」と言うのだ。これはホンダ(HONDA)の事をオンダと言うのと似たようなものである。フランス人に「モザー」と言われ、それ誰のこと?と聞き返し、え、まさか君モザーを知らないのかい、そんなはずないモザーだよモザーモザー!と真剣な瞳で問いつめられますます混乱したという話も、時折だが聞く。蛇足だが私自身も自分の名前がパスポート通りにGoroだと教えると100%「ゴホ」と言われる。激的に間違っている。

  このような話をすると、だからフランスという国は・・・・などと気分を害される方もあるようだし、またそうでなくとも、名前に関する発音は原語に出来るだけ忠実であるべきだと主張する方がおられる。モオツァルト、モオツアルト、などなど。あるいは彼らが主張して曰く、モオツァルトが主に活躍した街はウィーンではなくヴィーンである・・・云々。

  確かにこういった主張にある程度の意味はあると私は思うし、ウィーンがフランス語ではヴィエンヌ、英語ではヴィエナと言うことなども知識として知っておいて損することではない。だがモーツァルト当人はおっとろしく冗談好きだったので、自分がフランスではモザーと言われることを知って(彼はパリに住んでいたことがある)きっとヒーヒー笑っただろうと私は想像している。

  それに、偉そうに発音を云々する私たち日本人自身の発音はどうなのか。日本語では堂々と「モーツァルト(mo-o-tsuaru-to)」と言うではないか。これは西欧人にしてみればめちゃくちゃに奇妙に映るようなのだ。試しに誰であれ西欧人に向かい「モーツァルト」と私がカナ読みで発音してみせると、それまでどんな真面目腐ってつまらなさそうな顔をしていた人でも何ナニ!なんだって?もう一度言え!言わぬか!!・・・・目を爛々と輝かせ激しく大喜びなのである。モーツァルト当人がこの発音を知ったならばもう、フランス語など目ではなく、腹が破れるほど笑い転げるに違いないと私は思うのだがどうなのだろうか。

written by

山根 悟郎(やまね ごろう)
1977年京都生まれ。立命館中高出身。ヘ音記号すら満足に読めなかった中学3年の夏、音大進学を突如決意し猛ダッシュ。1997年桐朋学園大学ピアノ科入学。2001年卒。2003年秋よりブリュッセルに在住。現在は隣町ルーヴェンのレメンス音楽院に籍を置き、そこでアラン・ワイス氏(アメリカ人)に師事している。近頃は読売新聞欧州版、弦楽雑誌ストリング、あるいはコンサートのプログラム解説などへの執筆業も行っている。
サイトURL:http://www.gorodiary.com/



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